課題に対してリーダーシップ・スタイルを変えるコンセプト理論とは?

現代のリーダーシップ理論は「臨機応変」が重要

リーダーシップが学問的な関心を集め、研究対象となった歴史は古く、特に1900年代になるとアメリカなどを中心にその理論化・体系化が進められてきました。

初期の研究では「リーダーシップは先天的な性質で生まれ持ったものである」前提のもと行われてきましたが、共通の特徴を見いだせなかったり、リーダーシップを身に付けたり発揮したりするためにどのようにしたらよいかという疑問に答えられませんでした。

特性理論と呼ばれる古典的なリーダーシップ理論の後に登場したのが「行動理論」です。リーダーの行動に着目して、共通の特徴を抽出しようとした行動理論では、優秀なリーダーは「業務への関心度」と「人間への関心度」がともに高いことが発見されました。しかし実証研究の結果から、あるチームで優秀なリーダーであっても他のチームでも優秀なリーダーであるとは限らないことから、部下やビジネス市場、課題の困難さなどのリーダーを取り巻く環境で優秀なリーダーが変わるのでは?という仮説が生まれました。

行動理論はさらにリーダーを取り巻く環境まで拡張した「条件適合理論」へと発展し、「人間関係の好き嫌い」や「解決したいビジネス課題の困難さ」「部下の業務への成熟度」などによって求められるリーダーシップが変わると結論づけられました。

こうしたリーダーシップ理論の研究の文脈で、最前線にある現代の理論が「コンセプト理論」です。「コンセプト理論」では、条件適合理論をより具体的なビジネスシーンに落とし込み、経営危機に陥ったとき、チームのコミュニケーションが求められるとき、部下から積極的な意見や情報交換が必要なときなどに有効なリーダーシップが研究されています。

今回はコンセプト理論や、どのようなリーダーシップが研究されているのかについて説明します。

なぜ「コンセプト理論」が生まれたのか?

コンセプト理論は、前身となる「条件適合理論」を継承した理論です。条件適合理論では、リーダーとリーダーを取り巻く環境の関係に着目して、リーダーシップ理論の一般化を試みました。結果「パス・ゴール理論」や「SL理論」などが提唱され、リーダーシップの多様性が認められるようになりました。

条件適合理論で重要なのは「良いリーダーシップは絶対的なものではなく、相対的なものである」ということです。タスク状況や組織の構成員などにより臨機応変に、流動的に変えていくことの必要性が指摘されたのです。

コンセプト理論は、適切なリーダーシップを議論するために「さまざまなシチュエーションにおいてどのようなリーダーシップを発揮し、具体的にはどのように解決するか」の議論を目的として提唱されました。

コンセプト理論による5つのリーダーシップの「型」

コンセプト理論は条件適合理論の多くを継承している理論です。そのため、問題設定の際に「リーダー(人間)」と「リーダー(人間)をとりまく環境」の関係性に焦点を当てて議論を行っています。

コンセプト理論では、様々なビジネス環境や組織・メンバーの状況を想定しています。代表的な5つの具体的なリーダーシップの取り方を紹介します。

  1. カリスマ型リーダーシップ
  2. 変革型リーダーシップ
  3. EQ型リーダーシップ
  4. ファシリテーション型リーダーシップ
  5. サーバント型リーダーシップ

具体的にリーダーシップを考える

コンセプト理論での代表的な5つの「リーダーシップの型」がありますが、各リーダーシップの特徴を簡単にまとめてみると以下のようになります。

1.カリスマ型リーダーシップ

並外れた行動力と発想で、組織を力強く牽引するタイプのリーダーシップです。

ビジネスにおいて、リスクをとってでも積極的にチャンスをつかもうとするスタイルです。

2.変革型リーダーシップ

経営方針を抜本的に見直し、大きな改革を推し進めるように働きかけるリーダーシップです。

経営危機の会社のトップなどに求められるスタイルで、メンバーに「自発的な行動」を促します。

3.EQ型リーダーシップ

人間関係を重視し、職場環境の改善や部下のモチベーションの維持に細かく注意を払うリーダーシップです。

実務よりも、メンバーの感情を尊重するスタイルです。

4.ファシリテーション型リーダーシップ

メンバーの自発的な行動を尊重し、業務意欲や成長を促すような行動をとるリーダーシップです。

「部下と上司」という上下関係に基づくコミュニケーションではなく、同じ目線に立って部下の声を傾聴するのが特徴です。民主主義的な組織作りで、業務を通しての信頼関係構築を目指すスタイルです。

5.サーバント型リーダーシップ

リーダーがメンバーの業務をサポートする構図をとるリーダーシップです。

メンバーは顧客業務などに集中し、リーダーがそうではない裏方の仕事をきっちりと行ってフォローし、顧客満足度を向上させようとする狙いがあります。

もちろん、組織としての大きな決断の最終意思決定や責任はリーダーが行いますが、そこを担保するからこそ、メンバー一人ひとりが思い切った行動をとりやすくなるのが特徴です。

課題解決のための「適切なリーダーシップ」

コンセプト理論は、リーダーシップは様々な条件下で適したものがあることが明らかになった条件適合理論を掘り下げ、具体的にどのような状況でどのようなリーダーシップが有効なのかを示しているリーダーシップ論です。

現代のリーダーシップ論ではコンセプト理論が展開されていますが、当然のことながら、状況の数だけ適したリーダーシップが存在することになり、人事担当者がリーダーシップ論のすべてを把握することが難しくなっています。

しかし自社の抱える課題や状況に応じてどのようなリーダーシップが有効であるのかであれば、比較的容易に求められるリーダーシップがわかります。

まずは自社の課題が何かを追求し、求められるリーダーシップについて掘り下げてみるのはいかがでしょうか?

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