コア人材を育成・教育する方法とは?適正な育成方法を知ろう

組織の中核を担う「コア人材」とは

社会環境が大きく変化し、企業の経営のスピード化や効率化が求められる時代、企業を担う重要な存在が「コア人材」です。コア人材とは、他社との差別化などにおいて、必要不可欠となる業務を担い、代替が効かない人材です。「コア人材」候補を確保し、育成することが多くの企業にとっては大きな課題となっています。

「コア人材」には専門的な知識や洞察力などが求められますが、とはいえ、自社特有のノウハウややり方があった上での「コア人材」です。ですので、即戦力として、コア人材を採用することは非常に困難で、その意味でも、長期的な視点で教育・研修する戦略は欠かすことはできません。

コア人材の要件として主に「知識や能力(スキル)」と「やる気や性格などの適性」の2つがあります。「知識や能力」は入社後でも教育ができますが、「やる気や性格などの適性」は入社後での教育が難しいため、採用の段階で見極めを行う必要があります。

今回は「コア人材」の育成において、どういった観点が重要になるのかについて説明します。

事業段階ごとによって求められるスキルは異なる

会社を立ち上げた創業期には、しっかりとした基盤を作ることが優先課題であり、事業が軌道にのった成長期には、安定性を高めるために新たな人を採用して管理することが優先課題になるなど、事業の段階ごとに優先課題は変わります。優先課題が変われば、課題を解決するために求められるスキルも変わります。

コア人材のイメージ
出典元『日本の人事部』長期的観点から再考する「コア人材」の採用と育成【前編】

創業期

企業が誕生したばかりの「創業期」は、組織や制度などが未整備の状態にあります。創業期は、従業員も多くなく、個人の役割分担も明確になっていないこともあります。全従業員に経営者としての視点が求められ、スピード感を持って対応する必要があります。他社との差別化を図るために、ビジネスモデルだけでなく、業務の流れや仕組みを一から構築していくことが求められます。

創業期には、企業が抱える課題を自分の事のように考えて取り組む人材が求められます。主体的であること、課題を発見して解決策を提示できるなどです。また役割分担も明確になっていないため、スペシャリストとしての要素だけでなく、ジェネラリストの要素も兼ね備えたタイプが求められます。

成長期

ビジネスモデルが確立され、商品・サービスが売れ始めたタイミングが「成長期」となります。業績も伸びることで、個人の役割分担が明確になるだけでなく、部署として従業員も増加します。

全従業員に経営者視点が求められた創業期に対し、成長期では役割分担が明確になっているため、スペシャリストやマネージャーとしての要素が求められます。同僚や部下、場合によっては他部門などとも連携しながら業務効率を高めることが求められます。社内で担当する業務で発生した問題を解決できる専門性も求められます。

創業期に定めた「質を求める業務」から「量を求める業務」へ変化するために業務内容や課題を細分化して考えられること、労働生産性を高めるために尽力できる人材が求められます。

多角期

商品・サービスが安定した顧客数を確保し始めたタイミングが「多角期」です。自社が新規のビジネスモデルを手がけた場合、競合他社の出現や他社の参入がより顕著に見られます。

多角期では、短期的・中期的な戦略だけでなく、長期的な戦略を決めることが求められます。市場の動向や自社の取り巻く環境を分析し、ビジネスモデルだけでなく、自社が抱える強みや弱みを把握しながら、方向性を定めることが求められます。方向性を定めるだけでなく、同僚や部下、上司や経営者などを説得してその方向性に向かうための施策を立案・実施できる人材が求められます。

自社の状況を客観的かつ正確に分析するために、論理的思考を持ち合わせた人材や施策の立案・実行に長けた人材が求められます。

変革期

既存事業が安定し、新規事業などを手がける時期が「変革期」です。市場の変化により、既存事業が安定しなくなった場合にも「変革期」は訪れます。

新しいビジネスモデルなどを手がけるため「創業期」とも共通点はあります。しかし既存のビジネスモデルで得た顧客や仕事のノウハウ、従業員規模など異なる点も多くあります。

既存事業の問題点の分析能力はもちろんのこと、新規事業のアイディアを出す発想力や裏付けを行う論理的思考も求められます。既存事業が安定していれば、短期・中期的な戦略だけでなく、長期的な成長を見込める戦略を立案できるかも重要となります。市場の変化などで長期的な戦略がうまくいかないことも多いため、臨機応変に対応しながら目標をやり抜く能力も求められます。

社員が持ち合わせているスキルセットの特定

コア人材を育成するためには、自社の従業員がどのようなスキルを持っているのか(持っていないのか)を把握する必要があります。

一言でスキルと言っても様々です。英語力をTOEICで測る場合などは点数としてわかるため明確ですが、プレゼンテーション能力などは点数として出しにくいため特定が難しいです。またコミュニケーション能力など、業務の専門的な能力でないものの意識せず発揮されている能力などもあるため、能力をもれなくリストアップすることも重要です。

スキルマップの作成

スキルマップとは、各従業員の持つスキルを表にしてまとめたものです。

縦を従業員名、横を各スキルとし、各従業員の各スキルに対する習熟度を数値などで表すことでまとめることで、従業員のスキルを一目で確認できる一覧表となります。スキルマップの作成には、「スキル体系の作成」「スキル評価方法の決定」「実用に向けての準備」の3点を考慮する必要があります。

スキルマップ
出典元『SKILL NOTE』スキルマップとは

スキル体系の作成

従業員に見出すスキルの内容を明確に分類する必要があります。対象とする従業員の属性やスキルの分類・種類をどれだけ細分化するのかを決定することで、初めて適切なスキル評価が可能となります。これらの項目を設定するには、まず自社が必要とする人材像を明確にしておかなければなりません。

各種資格はスキルを測る上でわかりやすい1つの指標となります。この時、対象外の資格であってもまとめておけば、従業員の能力を発掘する機会に繋がるかもしれません。

スキル評価方法の決定

従業員のスキルを誰がどのように評価するかを決定します。評価の方法は、主観的な評価方法と、客観的な評価方法の2通りに大別されます。

主観的な評価方法では、本人が行う自己評価や上長による評価、さらには同僚や部下、あるいは他部署の第三者による評価などが考えられます。

客観的な方法は、業務を何回遂行したかなど数字で評価する方法と、試験を受けさせ、その結果で評価する方法があります。

実用に向けての準備

スキルマップの内容を決めるほかにも準備としては、職場でスキルマップを導入することやその目的と期待される効果を共有しておくことが大切です。評価基準についても従業員に周知することが大切です。第三者からの評価にプレッシャーを感じる社員のメンタルヘルスケアについても考慮する必要があります。

※スキル管理ツールの導入

効率的なスキル管理の方法として、企業向けに開発されたスキル管理ツールも有効です。優れたインターフェイスは、エクセルよりも可視性と操作性に長け、導入の手間がかからない、情報漏洩へのセキュリティが高いという点でも有利です。

配属や研修を行うことで身につくスキルの明確化

従業員が持ち合わせているスキルを把握するだけでなく、どのようにすれば持っていないスキルが身につくのかの道筋を明確にする必要があります。

英語力やコミュニケーションスキルなどの汎用性の高いスキルであれば、外部の教育研修制度を活用するのも一つの手です。しかし、自社の業務に特化したスキルであれば、どのような配属先でどのような業務を担当してもらうのが良いのかを明確にする必要があります。

新入社員の育成

採用時の見極め方

新入社員がコア人材となりうるかどうかの見極めの重要なポイントの一つが、「採用時の面接対応」です。経営者や幹部メンバーもできる限り参加することで、会社の経営戦略にマッチする人材を発見しやすくなります。

何気ない会話を交わす際に、応募者の意識の高さや物事を見極める力、意思の強さをチェックしてみましょう。相手としっかりコミュニケーションを取りその人となりを見るように心がけましょう。

研修実施のポイント

コア人材は、知識や経験に裏打ちされた行動力で、リーダーシップを取ることができる存在です。新入社員研修は、将来のコア人材候補を育成するための最初のステップとなります。会社が目指している将来像や展望、そのために何を行動していくかなど、会社のカラーを前面に出した研修を実施する方法が効果的です。

配属先での研修や教育も重要です。自分の部署以外の業務内容の説明や体験により他部署への理解を深め、組織全体を見る目を養う教育も有効です。

経営者の声を直接届ける工夫も行いましょう。会社内の経営方針や将来の展望を、経営者自身が声にして伝えることが何よりも重要なのです。

入社3年目がカギ

入社した社員が活躍するかどうかは、入社3年目がカギと言われています。入社して3年後からの時期をどう過ごすかで、コア人材になれるかが変わってきます。

企業は3年目の社員に対する教育や活躍の場の付与など、レベルアップのためのステップを示すことが求められています。

中堅社員の育成

中堅社員に求められること

中堅社員に対して何を求めるのかを明らかにしましょう。

中堅社員として必ずクリアしなければならないことは「業務における基本的な内容をひと通り理解しており、上層部の指示に確実に答えることができる能力を有していること」です。また「その際に生じる問題や課題を見つけ、解決策を見出せる能力」も必要です。

上層部に確認する内容と自身の決断力で解決する内容を分類し、組織に働きかけ、実行できるようになることが求められています。

研修実施のポイント

中堅社員研修のポイントは、広い視野で物事を捉え判断することができる人材を養っていく、という目的を常に念頭に置いておくことです。

役割意識の確立

リーダーとして経営に携わる意識を醸成することから開始します。

経営者の視点に立ち物事を考える方法や自身が責任を持って仕事に邁進する意識づけをし、与えられた目標に向けて何をすべきかを判断する能力を養います。

経営戦略思考の取得

社会や環境の変化を瞬時に捉えることのできる能力を身につけます。

社内の状況や会社をとりまく環境を把握するために、周りに目を向ける方法について教育を行い、状況に応じた対応をするための能力を養います。

リーダーシップ能力の習得

与えられた指示に従い部下を指揮し、組織を動かす方法を学ばせます。

同時にリーダーとしてのふるまい方などを学び、将来の経営幹部としての立場を見据えた教育を行います。

コア人材の育成を待ったなし 新入社員から中堅社員までそれぞれの育成法を考える

コア人材の育成には長期的な目線が必要ですが、しっかりとした道筋を立て実行することは可能です。たとえば、経済産業研究所の記事にある日立製作所の事例では、組織が有しておくべきスキルを1000に分類、それをデータベース化し、世界中の人材育成に活用しています。

(参考URL『独立行政法人 経済産業研究所』グループ経営改革とコア人材の育成

あくまでも一企業の例ですが、大手企業などもコア人材の育成を事業戦略として中核に据えています。特に日本企業の場合は、海外で主流の「職務給(職務ごとにその労働価値や難易度、賃金が規定されている)」での採用と異なり、中長期的視点での採用が実施されるのが一般的です。

中長期的な人材育成戦略という部分においては「コア人材」の育成は理にかなっています。他の人材育成の戦略と併せて、包括的な経営戦略を構築する際の参考にしていただければ幸いです。

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