労働移動支援助成金の早期雇入れコースとは?正規社員採用で活用しよう!

労働移動支援助成金の「早期雇入れコース」とは

売り手市場による人材の確保が大きな問題となっています。事業を拡大させるためには人材が必要ですが、そもそも人材を確保できないために事業規模縮小、最悪の場合倒産も起こりえます。

企業だけでなく、労働者にとっても問題です。事業規模縮小や倒産時には、多くの人材が離職を余儀なくされます。離職を余儀なくされた人材の再就職を促す制度の導入を促すのが「労働移動支援助成金」です。

労働移動支援助成金には、3種類のコースがあります。離職を余儀なくされる従業員の教育や就職活動期間を付与するなどの支援を行う「再就職支援コース」、離職を余儀なくされた離職者を早期に雇入れする企業を支援する「早期雇入れコース」、離職を余儀なくされた離職者の受け入れ体制の整備を支援する「中途採用拡大コース」があります。

今回は、離職者を早期に雇入れする企業を支援する「早期雇入れコース」について説明します。雇い入れた新入社員が、前社で離職を余儀なくされていた場合などに使える助成金です。

早期雇入れコースの概要について

労働移動支援助成金の早期雇入れコースは、自社に新入社員を受け入れた際、新入社員が条件を満たしていれば、雇い入れた企業に支給される助成金です。

新入社員誰でもが対象者となるわけではありません。対象となる労働者を雇入れしたとしても、契約社員など有期契約者として雇い入れた場合も助成金の対象外となります。無期雇用前提で、試用期間として契約社員で雇用する場合も助成金を受け取れません。

助成金を受け取るには、事業主・労働者のともに受給条件が定められています。

助成金が支給される事業主の条件とは

離職を余儀なくされた労働者であるため、有期雇用契約や紹介予定派遣などで雇い入れた場合は支給対象となりません。あくまで意図せず就業できなくなった労働者に対して、安定して就業できる環境を設けることが重要です。試用期間中は契約社員で、本採用になったら無期雇用などの場合も受給できません。

支給対象者を一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れる必要があります。期間の定めのない雇用であっても、1週間の所定労働時間が20時間未満などの場合は一般被保険者とはなりません。

事業主は、支給申請時および支給決定時に対象者を雇用し続けている必要があります。支給決定時に労働者が離職していた場合は、受給することができません。

雇い入れる労働者の条件とは

雇い入れる労働者は、3つの条件すべてを満たしている必要があります。

  1. 離職から3か月以内に期間の定めのない労働者として雇入れられる方
  2. 雇用されていた事業主の事業所への復帰の見込みがないこと
  3. 離職の際に「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者となっていること

早期雇入れコースの名称の通り、離職日の翌日から起算して3ヶ月以内に雇用を開始する必要があります。離職者が就職活動を始めるタイミングはまちまちですが、採用選考から入社までには時間がかかるので、採用工程をスムーズに進める必要があります。引っ越しを伴う就業の場合はなおさら注意が必要です。

「離職を余儀なくされる」という条件のもと、元々雇用されていた事業主の復帰見込みがないことも条件となります。倒産であれば復帰の見込みが確実にないですが、事業規模縮小の場合、他の部署への異動などで呼び戻される可能性がないことを事前に確認しておく必要があります。

「再就職援助計画」や「求職活動支援書」とは、雇用されていた事業主が「離職を余儀なくされた離職者である」の証明となる書類です。離職を余儀なくされる労働者に対して、事業所は労働者への再就職の援助を行う努力義務があり、事業所が労働者数や再就職の援助措置などの計画を記載した書類になります。この書類の対象となるのが「事業の廃止」「事業の縮小」「事業の施設や設備の廃棄や譲渡」「事業の休止」「事業転換による経済的事情」などによって1ヶ月以内に30人以上の離職を余儀なくされることになった労働者になります。

早期雇入れコースで支給される助成金の金額について

早期雇入れコースでは、対象者1人につき、通常30万円が支給されます。1年1事業所あたり500人が上限となります。

早期雇入れコースでは「早期雇入れ支援」と「人材育成支援」の2種類の受給が可能です。

早期雇入れ支援

事業所・労働者双方が条件を満たしていた場合は、優遇助成として80万円が支給されます。雇入れから6ヶ月後に40万円、更に6ヶ月後に40万円と分割されて支給されます。

事業所の条件としては、生活指標等で一定の成長性が認められていることになります。具体的には、次の4つの条件のうち、いずれかの条件を満たしている事業所になります。

  1. 支給申請を行う年度の直近の会計年度の売上高が、当該会計年度から3年度前の売上高と比較して5%以上伸びていること
  2. ローカルベンチマークの財務分析結果(総合評価点)が「B」以上であること
  3. 支給申請を行う年度の直近年度と、その3年度前の生産性を比較することによって算定した生産性の伸び率が6%以上伸びていること。かつ、同期間中に、当該事業主において雇用する雇用保険被保険者を事業主都合によって解雇(退職勧奨を含む)していないこと。
  4. 1~3に該当しない場合であって、3の生産性の伸び率が1%以上6%未満であり、かつ申請事業主の承諾の上で金融機関が行う与信取引状況や企業の事業に関する見立てを参考に、該企業の成長性・将来性が見込まれるものと都道府県労働局が判断した場合

労働者の条件としては、REVIC(株式会社地域経済活性化支援機構)、中小企業再生支援協議会等による事業再生・再構築・転廃業の支援を受けている事業所等から離職した人材であることが挙げられます。雇用されていた事業所が分かれば、該当するのか調べられます。

優遇助成を満たし、雇入れ1年経過後に支払われる賃金が、雇入れ後に初めて支払われる賃金よりも2%以上上昇していた場合には、80万円ではなく100万円が支給されます。(2回目の支給が40万円から60万円になります。)

人材育成支援

早期雇入れ支援の対象者に職業訓練を実施した場合に、金額が上乗せされて支給されます。

訓練の種類が「Off-JT」「OJT(On Job Training)」なのか、支給区分が「通常助成」「優遇助成」「優遇助成(賃金上昇区分)」なのかで、支給金額が変わります。OJTよりもOff-JTの方が金額が高く、通常助成よりも優遇助成(賃金上昇区分)のほうが金額が高くなっています。

早期雇入れ支援の支給対象となる方に職業訓練を実施した場合、以下の額を上乗せして支給します。

 訓練の種類  助成対象  支給額(通常助成)  支給額【優遇助成】  支給額【優遇助成(賃金上昇区分)】
 Off-JT  賃金助成  1時間あたり900円  1時間あたり1,000円  1時間あたり1,100円
 訓練経費助成  実費相当額 上限30万円  実費相当額 上限40万円  実費相当額 上限50万円
 OJT  訓練経費助成  1時間あたり800円  1時間あたり900円  1時間あたり1,000円

出典元『厚生労働省』労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)

早期雇入れコースを受給する際の注意点は

早期雇入れコースの優遇助成の場合、2回に分けて助成金が支給されますが、都度申請をしなければなりません。1回目を受給しても2回目の申請しなければ、支給されないため、手続きの手間はもちろんのこと、申請時期を忘れないようにしましょう。

雇用するのは、離職から3ヶ月以内でない点にも注意です。採用選考時に「対象者である」ことがわかったとしても、内定承諾や引っ越しなどの入社準備で、実際に雇用が開始されたのが3ヶ月を超えてしまった場合は、受給対象とはなりません。

覚えておいて損はない早期雇入れコース!

労働移動支援助成金の早期雇入れコースは、求職者次第とはなるものの、採用を行うだけで通常30万円、最大100万円が助成される制度です。助成対象になるかは、求職者による影響が大きいため、あまり活用する機会はないかもしれませんが、知っておいて損はない制度です。

3ヶ月以内に雇い入れる必要があるため、企業側にも採用選考のスピード感が求められます。スピード感は、早期雇入れコースの対象外であっても求められる、応募者の志望度を向上させる一つの要因ですので、普段の採用選考から意識しながら、機会があれば助成金を申請するような仕組みを一度検討してみるのはいかがでしょうか?

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