若年層の雇用を促進する制度「ユースエール認定」とは?

若年層の雇用を促進する制度「ユースエール認定」

加速する少子高齢化に比例して、労働市場での高齢化も徐々に進んでいる昨今。次の世代を担う若者層をいかに今以上にビジネスの現場で活躍してもらえるようにするか。この問題は、ここ数十年にわたって、日本経済全体の命題になっています。

企業にとっても働く人々にとっても、長期にわたって活躍できる場所があることは重要です。その意味で、就業をサポートしていく必要があるのは「若年層」でしょう。若年層の就業支援やキャリア形成は、大手・中小企業といった企業規模を問わず、どの企業でも緊急の人事課題と言えます。

現在の経済政策である「アベノミクス」の影響でここ数年、完全失業率は少しずつ改善され、転職市場も活況を呈しています。しかしデータを読み取ると、若年労働者を取りまく状況は依然、厳しさが続いていることが見て取れます。たとえば、少し前の統計ですが、2000年以降日本の完全失業率は、4~5%台で推移していますが、15歳~24歳の若年層は、7~10%台と、20代後半から30代前半と比較しても失業率は悪い状態が続いています。

若年層の失業率
出典元『Adecco』若者が働くこと、若者を育てること

「非正規雇用」に関する問題も見逃せません。これは就職氷河期の時期に、希望する就職ができなかったミドルエイジで、特に深刻な問題となっていますが、これは若年層も同じことが言えます。徐々に改善されつつあるものの、日本にいまだ根強い「新卒一括採用スタイル」の影響で、新卒もしくは第二新卒時で就職に失敗した際、その後のキャリアマップが描きにくくなる傾向にあることは、売り手市場の現在でも根強い問題として残っています。

未来の経済を担う若年層の就業支援のテコ入れを図るために、2015年10月1日に「若者雇用促進法」が施行されまました。この法律の一つの政策としてここ数年注目されているのが、35歳未満の人材の採用・育成に積極的で、かつ雇用管理の状況などが優良な中小企業を認定する制度=「ユースエール」です。

「ユースエール」の概要と認定のメリットとは

「ユースエール」は、通称「若者雇用促進法に基づく認定制度」とも呼ばれ、若年層の採用活動や育成活動を積極的に展開すると同時に、雇用状況が優良と認定された中小企業に対して、厚生労働省が認定を行う制度です。名称の意味は、“若者を(ユース、youth)応援する(エール、yell)企業”というもの。

ユースエール認定制度は、2015年10月に厚生労働省が施行した「若者雇用促進法/勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律(青少年の雇用の促進等に関する法律)」が基になっています。この法律は、若年層の雇用を促進することを目的としたもので、企業に対して「若年層がより意欲高く働きやすい環境作りを推進すること」が定められているものです。

「ユースエール認定制度」で優良認定を受けた企業を、「ユースエール認定企業」といいます。2015年10月に創設されて以降徐々に認知度は向上し、認定を受けようとする企業も増加しています。

ユースエール認定を受けるメリット

「ユースエール」の認定を受けるメリットは、主に6つあります。

  1. ハローワークなどの機関を活用できるなど、求人活動を広くPRできる
  2. さまざまなツールで認定マークを利用できる
  3. 認定企業限定の就職面接会等に参加できる
  4. 各種助成金の優遇措置がある
  5. 日本政策金融公庫の低利融資を受けることができる
  6. 公共調達で、加点評価を受けることができる

①ハローワークなどの機関を活用できるなど、求人活動を広くPRできる

ユースエール認定企業になった場合、ハローワークや「わかものハローワーク」、「新卒応援ハローワーク」などを利用して、より重点的な企業PR活動を実施することができます。新卒者や若年層の採用時には、若い世代のワークスタイルを応援する企業としてアピールできることは、大きなメリットになります。

厚生労働省が運営する、若年層の働き方をサポートする企業情報のデータベース、「若者雇用促進総合サイト」にも企業情報が掲載されます。厚労省のWebサイトに掲載されることは大きなPRポイントになると言えます。

参考URL『厚生労働省労働安定局』若者雇用促進総合サイト

②さまざまなツールで認定マークを利用できる

ユースエール認定後は「ユースエール」のロゴマークを自社商品や広告、自社Webサイトなどで使用できます。ロゴを有効に活用することで、若者のワークスタイルを応援する企業としてはもちろん、広く一般にアピールできることは企業広報的な観点では大きなメリットになります。

③認定企業限定の就職面接会等に参加できる

各都道府県労働局やハローワークでは、不定期で若年層向けの就職面接会などを開催しています。ユースエール認定企業は、このイベントへの参加案内を一般の企業より優先的に案内を受けることができます。就職を希望する若年層との接触機会が増えることで、母集団形成としてプラスの効果が期待できます。

④各種助成金の優遇措置がある

ユースエール認定企業が雇用関係の助成制度を利用する場合、一般の企業と比較して、助成金額に一定の金額が上乗せされるなどの優遇措置を受けることができます。

キャリアアップ助成金

有期雇用労働者やパート・アルバイトなどに対して、研修などの教育体制の整備や雇用待遇の改善を実施し、安定した職場環境を作り出した事業主に対して行われる助成制度。

人材開発支援助成金

人材育成のための体制を整えた会社が受けることのできる助成制度で、キャリア形成促進助成金が2017年にリニューアルしたもの。助成率は通常、経費の60%で計算されますが、認定企業の場合は75%まで利率がアップされます。

トライアル雇用助成金

35歳未満の人材をトライアル雇用する際の助成制度。ハローワークなどによる紹介で、該当の人材が一定期間就業した際に受けることができます。

特定求職者雇用開発助成金

就職困難な若年層を、ハローワークや職業紹介事業者による紹介で雇用する際の助成制度。

⑤日本政策金融公庫の低利融資を受けることができる

日本政策金融公庫(中小企業事業・国民生活事業)が実施している『地域活性化・雇用促進資金(企業活力強化貸付)』を利用する場合に、基準利率からマイナス0.65%で低利融資を受けることができます。

該当の用途としては、企業が新たに事業を行う際に必要となる設備投資や運転資金などと規定があります。

参考URL『日本政策金融公庫』地域活性化・雇用促進資金

⑥公共調達で、加点評価を受けることができる

国や公共機関が発注する調達案件で、総合評価落札方式や規格競争方式による場合、契約の内容に基づいた上でユースエール認定企業に加点評価がつけられます。

この利点は『女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針』という指針で定められた制度で、「ユースエール」以外にも、たとえば「くるみん」や「えるぼし」などの認定を受けている場合は、さらに加点評価が高くなります。

ユースエール認定企業の一覧や認定企業数

「ユースエール認定制度」で、優良であるという認定を受けた企業(ユースエール認定企業)は、2015年10月の創設以来、PR活動の成果もあって徐々に認知が拡大しています。2018年7月9日時点で、認定企業数は394社に達しています。

認定され次第順次反映されていますので、最新の情報は厚生労働省のサイトから検索ください。

参考URL『厚生労働省労働安定局』企業検索

若年層の活躍を応援する「ユースエール」 その内容をまずは押さえる

育児支援などからの就業支援制度「くるみん」や、女性の活躍推進を柱とした制度の「えるぼし」と比較すると、「ユースエール」はいまだ認知度は高いとはいえません。しかし、中小企業限定の制度である、という企業規模による制約もありますが、認定を受けることで、企業価値を多いに高めることができる魅力的な制度でもあります。

自社の成長戦略を考えた際、「若年層」にどういうポジションで、いかに活躍してもらいたいか。自社の人事・採用方針を今一度検討・見直す際に、「ユースエール」の認定制度についても、有効な知識として知っておくことは、損にはならないはずです。

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