譲渡制限付株式の活用事例にみる組織を取り巻く課題

新たな株式報酬制度として譲渡制限付株式が活用可能になり約2年が経った。譲渡制限付株式とは、一定期間の譲渡制限が付された現物株式を報酬として付与するものである。コーポレートガバナンス強化の取り組みを背景に、役員に投資家目線の経営を促す効果や役職員のリテンション効果を狙った報酬制度として活用が進んでいる。筆者もこの2年間、譲渡制限付株式報酬の導入支援に携わっており、その過程で多くの企業の導入事例を見てきた。譲渡制限付株式の導入目的の中には、これら一般的な目的に加え、自社が抱える組…

持株会社化による多様な人事制度

多くの企業が人手不足で悩んでいる。また、採用活動を行っても、求める人材は他社に採られてしまうということも多い。どうすれば求める人材を採用できるのであろうか?転職者はどのような理由で就職先を選ぶのだろうか?

転職者が現在の勤め先を選んだ理由は、厚生労働省の調査「平成27年転職者実態調査の概況」で示されている。上位3項目に挙げられたのが、「仕事の内容・職種に満足がいくから」、「自分の技能・能力が活かせるから」、「労働条件(賃金以外)がよいから」という理由である。売手が強いといわれる現在の転職市場に…

本当に必要な学生を採用できていますか

平成30年3月卒業予定の大学生の就職内定率は10月1日時点で前年同期比4.0ポイント増の75.2%であり、直近10年間では最高の売手市場となっている(※1)。一方、内定辞退率も64.6%(※2)と高く、東証一部上場企業においても人材獲得不足により、第二次募集、第三次募集を実施する例があったようだ。また、ある企業では新卒採用者に自社を第一志望とする者が一人もいなかったという話もある。

各企業の人事担当役員からは、「想定以上に内定辞退者が出た」、「自社の採用方法・体制に限界を感じる」、「内定者全体…

「働き方改革」の行きづまりを打破するには

「働き方改革」に関する課題を放置するリスクは日々報じられており、人材不足も相まって、企業における改革の機は熟した。規模の差こそあれ各社施策を打っている一方、行きづまりや改革疲れを耳にする。

突然だが、質問をさせていただきたい。以下のような状況で「働き方改革」は浸透するだろうか?

ある営業部では、長時間残業の者が多く離職率も高いが、売上高は抜群。営業部長は高い評価を得て執行役員に昇格している。
生産性向上を掲げ、全社的な業務フロー改善を部署間連携で実施することを推進しているが、自部署の業務分掌…

「働き方改革」を”地域で”広げていくために

「働き方改革」は国家の重要課題

誰もが生きがいを持って能力を発揮できる社会を実現する「働き方改革」は、「ニッポン一億総活躍プラン」における最大のチャレンジとして掲げられて以来、今後の日本経済の行方を左右する国家の重要課題となっている。働き方改革は、企業の生産性改善による業績向上や、労働環境改善による多様な人材の活躍をもたらすとされている。2017年3月には「働き方改革実行計画」が策定されており、現在、法制度整備や取組強化、ガイドライン策定などが進められている。

「働き方改革」と一言に…

長時間労働からの脱出~ エモーショナルアプローチの実践

◆本レポートは働き方改革に関する考察である。働き方改革のテーマは多岐にわたる。その中でも一丁目一番地に挙げられる長時間労働に的を絞り解説する。

◆総労働時間は1日当たりの労働時間と、出勤日数の積で計算される。総労働時間を短縮するためには、残業時間の削減と休暇取得の増加の両輪で議論を進める必要がある。

◆具体的な処方箋として、ボトムアップアプローチとトップダウンアプローチ、そしてエモーショナルアプローチの3つを紹介する。漸進的かつ正確な改善を狙うならボトムアップアプローチ、飛躍的な改革…

同一労働同一賃金の実現への第一歩~企業側の視点~

2016年12月20日に同一労働同一賃金ガイドライン案(以下、「当ガイドライン案」とする。)が公表された。同一労働同一賃金とは、職務内容が同一または同等の労働者には、同一の賃金が払われるべきだという考え方(※1)である。2016年2月の総理の発言等(※2)に基づき、同年3月23日、厚生労働省に「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」が設置された。当検討会にて、同一労働同一賃金の実現に向けた具体的方策について検討を重ね、正規雇用労働者(※3)(以下、「正社員」とする。)と非正規雇用労働者(※4)(…

「新製品売上高比率」がKPIとして果たす役割とは

企業経営や人材マネジメントにおいて、目標設定や評価方法に悩むケースは少なくないだろう。特に、定量評価が難しいイノベーション創出や新製品開発のプロセスは成果の計測が難しい。本稿では、新製品開発に強みをもつ企業の事例を参照しつつ、数値管理と自由度のバランスについて考える。
次々と顧客ニーズを捉えた新製品を市場に送り出す、イノベーティブな研究開発型企業に共通する組織的な取り組みを見ていくと、新製品開発を加速するための様々な制度や仕掛けを取り入れていることが挙げられる。例えば、以下のようなものである。…

Y世代に真正面から向き合おう

ご存じの方も多いと思うが、Y世代(ジェネレーションY)とはX世代(※1)に続く世代でありさまざまな見方はあるものの、日本ではおおむね1980年代初頭から1995年前後に生まれた世代を指す。ポスト団塊ジュニアとほぼ同意である。ビジネスの現場においては20歳から30歳代前半のいわゆる「若手」がそれに当たる。日本におけるY世代のボリュームゾーンはバブル崩壊後の「失われた20年」に多感な青少年期を過ごし、不況や失業、将来にわたっての不透明さを間接的に体感していることが特徴的だ。伝統的な大企業が人員削減を…

「管理職務」というマネジャーの役割

◆コンサルティング・プロジェクトの実施において、筆者はコンサルタントとして多くの管理職の方にインタビューを行う。彼/彼女らに、「管理職としてどんな仕事をしているか?」という質問をすると言い淀んでしまうケースが多く見受けられる。

◆これは、彼/彼女らが、「管理職務」という役割を自覚していないことが理由ではないかとの問題意識から、本レポートではマネジャーの役割の1つである「管理職務」に着目し、「管理職務」の実態を解明するための考察を試みる。

◆まず、経営学者ミンツバーグの名著「マネジャー…